紗夢たんといっしょ

mabinogi日記 oβからあります。休止を繰り返しながらのoβ組

果たされる事の無かった、「またね」のお話。

ブリタニアでの一番の思い出を一つ語らせてください。
あまりに思い出深いので、ブリタニアの本に書きとめておいたものなんですけど、
ブリタニアを去ったときに、いつまでも残すためにもここに記しておきたいと思います。
当時の自分の言葉を残したいので、原文のまま丸写しです。

title「a lantern」


私が彼女と出会ったのは、何でもない日の、いつもの銀行の前でした。
彼女はときどき街中でパーティーをやっている人で、その日も彼女と仲間の二人でパーティー会場の準備をしている所でした。
それまでにも私はこういったパーティーに参加したことがあり、不意に出会うたびにお手伝いとして、参加させて頂いていました。


「やめてよ〜!」


不意に彼女の悲鳴が聞こえ、見ると作りかけだったパーティー会場が心無い人によって、壊されているところでした。
「言っても無駄だよ。ほっとけ」と、彼女の仲間が言っています。
私も言っても無駄な事は分かっていたから、なにも言いませんでしたが、カナシイ気持ちになっていました。


だまって予備の机や椅子を使って会場の準備を続けてはいたのですが、次々と壊されて行くうちに予備の机すらもなくなってしまいました。
「どーしよう・・・ もう予備もないよ・・・」
そんな彼女の言葉に私は答えました。
「無ければ作る。コレ職人(笑)」
幸い私は昔から物を作る事が大好きで、大工の心得もあったので、銀行から板を引っ張り出して机や椅子を作りました。
「でも、また壊されちゃうから、ちょっと離れた所でやろう。」
と言う事で、場所を移して会場のセッティングのしなおしです。


机と椅子を並べ、テーブルクロスをかけ、手際良く料理とお酒を並べていく二人。
あっという間にパーティーの準備が整いました。


「そういえば自己紹介まだだったね。私は、かりん。こっちがmimoです。」
「生産まにあのゆきでっす。よろしく〜。」


パーティー会場が、ちょっと人通りの少ない所だったせいか、お客さんは少なめでしたが、
かりんさんの面白い昔話や、当時を知るお客さんの話でパーティーは盛り上がりました。
ちょっとだけ顔をのぞけてくれた人、話に混じって遅くまで居てくれた人。
色んな人との出会える、たった一時の出会いになることも、長い付き合いになる事もある。
このゲリラパーティーが私は大好きです。


パーティーの途中でかりんさんが私に言いました。
「みもはいいこだから、なかよくしてあげてね。」
もちろんですよ。
またきっと楽しいパーティーやろうね。。。


楽しい時間は早いもの、夜も更けた事だしそろそろお開きと言う事になりました。
お客さんにお開きの旨を伝え、三人で片付けをして、楽しいパーティーの終了です。
「今日は、ゆきさんのおかげでパーティー、無事にできたよ。ありがと〜。」
「また、やる時あったら連絡するんで、是非来てください。」
と、二人に言われました。
私自身も楽しんでやっているんだから、お礼なんかいいんだけどね。
こちらこそ、楽しい時間をありがとう。


「あ、そうだ。ゆきさん。ランタン交換しましょ。」
話しを聞くとmimoさんと私はスキル構成がほぼ同じで、彼女も私と同じ生産者だそうです。
銘入りの製品は生産者の名刺。
お互い持っていたランタンを交換しました。
「それじゃ、今日はありがとう。楽しかった〜。また、一緒にパーティーしようね。」
「うん、じゃまたね。」
「またね〜。」


二人と別れ、私も家路につきました。


*今日はほんとにたのしかった。また、やりたいなぁ。。*






・・・三ヵ月後


「あ〜。かりんさん!」
また、街角でゲリパを開いているかりんさんに会いました。
「今日はみもさんは?」
私が、尋ねると
「みもは、無期休暇に入ったんだってさ。だから今日は一人。」
そっかぁ。。
残念だけど、仕方ないか。また、戻ってきた時に一緒にやりたいなぁ。




・・・翌日


不意にICQが鳴りました。かりんさんからです。
なんだろ?ゲリパのお誘いかなぁ?(笑)


かりんさんの言葉を聞いて、愕然としました。
「以前ゲリパで会ったmimoさん覚えてますか?
 昨日は無期休暇に入ったと言ったのですが・・・
 
 今、初めて聞いたのですが、mimoさんは先月亡くなられたそうです・・・
 まだ、詳しい話は分からないので事実確認中ですが。」



うそ・・・


ディスプレイに映る文字が信じられなかった。
なんで?どういうこと?元気だったじゃん。どうして突然??


詳しい話が分かり次第すぐに連絡すると、かりんさんが言ってくれました。
頭の中で、どうして?が回ってた。
うそって言って欲しかった。
だってまたやろうねって言ってたじゃん。
だけど、、、



かりんさんの話によると、みもさんは一年ほど前から癌に冒されていて、自宅療養中だったそうです。
それが、先月の終わりに急に容体が悪くなりそのまま・・・
と言う事でした。


・・・悲しかった。
ただ、涙が止まらなかった。
リアルで会った事も無い、たった一度だけの仮想世界での出会いなのに悲しくて仕方が無かった。


「またね。」
って言ってたのにね。
「またね。」
って言ったのにね。。。




その事を知った後、なにをするわけでもないのに、彼女と出会った場所へ、同じ時を過ごしたあの場所へ行きました。
交換した彼女のランタンを持って。
そこは、いつもどおりの姿でなにもなく、他の人にとってはなんでもない街角の場所でした。



他の人には何の価値も無い物。だけど、私にとっては何物にも変えれない大切なもの。
私の銀行内にはそんな思い出の品を入れた箱があります。
ただ、銀行を圧迫しているだけだけど、どうしても捨てれない無い物たちです。


彼女のランタンは、その中で今日もやさしく灯っています。


---あとがき---
思い出すままにつらつらと書き連ねていったので、大変読みにくいですが、彼女の思い出を、彼女がここに居た事を残したくて、書きました。
全てノンフィクションです。
もちろんランタンも実在しますよ。
出会ったのは彼女の別キャラだったので、銘はmimoではないですが。
私がいつもランタンを持っている理由も、この思い出があるからです。
見せてくれと言われても、ちょっと困りますが。
実はドラッグする事すら怖いです(笑)
持ち上げた瞬間、消えちゃう可能性も無いわけじゃないですから。
時々箱を開いて見ては、思い出に浸っていますけどね。
来年、彼女の一周忌です。
もし、お金と時間が許せば参列したいとは思っています。
自分のすんでいる所からは随分遠いので大変なのですが。


この世界から色んな理由で去る人が居ます。
私と同期の人達ももうほとんど残っていません。
けど、私と同じ思いをして欲しくないから、誰かを失うのは寂しいから私はずっとここに居続けるでしょう。
これからもステキな思い出と共に。
                               Love & Peace  ゆき

ブリタニアの本は40ページあるんですが、40ページみっちり書かれていました。
これをコピーして、街でばらまこうかと思った事もあります。
拾った人が読んでくれたらいいかなと思って。結局やってないですけど。


最後に、いつまでもココに残ると書いていますが、あれからもう何年経つかな?
アクティブ率なんかほぼ 0%で、居る意味も薄れている自分はどこに居ればいいんでしょうね。


そんな事を思いつつ、mabinogiに「帰れる場所」を求めているんです。
たかがゲームだけれど、ディスプレイ越しのキャラクターの向こうには確実に生身の人間が居るんです。
そこに、「ドラマ」が生まれるのは必然だと思うんですよ。
上に書き残したような大きな「思い出」をみんな必ず持っていると思います。
長い間ネットゲームをやっていた人は分かってくれると思うんですけど・・・


最後にその思い出のランタンのSSでもUPしておきます。
今は、家に飾っています。
それとは別のもう一つのランタンも一緒に。


mimo's Lantern
思い出のランタン。


green tea
green teaさんの引退のときに貰ったランタン。
彼女の思い出はまた別の機会に。